Swift の非同期処理において、もっともシンプルに非同期タスクを開始できる構文が Task {}
です。
これは async/await を使った非同期関数を、ボタンのタップやイベントの発生など任意のタイミングで呼び出したいときに使われます。
この記事では Task の基本的な意味や使い方、活用シーン、注意点までをわかりやすく丁寧に解説します。
Task {} とは?
Task {}
は、非同期タスク(async function)を開始するための Swift の構文です。
Swift では async/await を使うことで非同期処理が非常に書きやすくなっていますが、画面タップやイベント発火時など「非同期関数を任意の場所から呼びたい」ときには、Task を使ってタスクをラップする必要があります。
たとえば、次のように書くことで、非同期処理を簡単に開始できます:
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Task { let result = await fetchUserInfo() print(result) } |
これは「新しい非同期タスクを立ち上げ、その中で async 関数を実行する」構文です。
Task の基本構造
Task の記述は非常にシンプルで、以下のように書きます:
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Task { // 非同期で実行したい処理 } |
この中で await を使えば、非同期関数を自由に呼び出すことができます。
また、Task はクロージャの戻り値として型を持つので、let に代入してキャンセル管理などにも使えます。
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let task = Task { try await longProcess() } |
async/await が定義された関数や API を、イベント発火など非 async コンテキストで呼び出したいときに重宝します。
具体例:ボタンタップで非同期処理を呼ぶ
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Button("読み込み") { Task { let data = await loadData() print(data) } } |
Task に指定できる修飾子や構文のバリエーション
Task はシンプルな構文ですが、目的に応じて優先度を指定したり、メインアクターでの実行を保証したりと、さまざまな指定が可能です。
以下では、Task に指定できる主要な修飾子や構文の違いについて解説します。
① Task(priority:_:) — 優先度を指定
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Task(priority: .background) { // 処理内容 } |
priority
にはTaskPriority
型の値を指定できます。- 優先度はあくまでヒントであり、システムが必ずしも順守するとは限りません。
使用可能な TaskPriority
優先度 | 意味・用途例 |
---|---|
.high |
高速に処理したい(UI操作直後など) |
.userInitiated |
ユーザー操作に直結する重要な処理 |
.utility |
ユーティリティ系の処理 |
.background |
時間がかかっても問題ない処理 |
.low |
優先順位が最も低い処理 |
② Task.detached(priority:operation:) — 親タスクに依存しないタスク
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Task.detached(priority: .background) { // 完全に独立した非同期処理 } |
- 親の処理の影響を受けずに、単独で動作する非同期タスクを作れます。
- 通常の
Task {}
は親タスクに紐づくのに対し、detached
は切り離されています。 @MainActor
の影響を受けず、スレッドも指定可能。
③ @MainActor 付きの Task
SwiftUI では、UIの更新は必ずメインスレッドで行う必要があります。
@MainActor
は「この関数(や処理)はメインスレッドで実行してね」と Swift に明示するための属性です。
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@MainActor func doUIUpdate() async { // UI更新など、必ずメインスレッドで実行したい処理 } |
このように書くことで、関数の中の処理すべてがメインスレッド上で安全に実行されます。
または Task の中で明示的にメインスレッドに切り替える:
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Task { await MainActor.run { // メインスレッドでUIを更新 } } |
これは「処理の一部だけをメインスレッドで実行したいとき」に便利です。
たとえば、バックグラウンドでデータ取得を行い、その取得後にUIを更新する部分だけメインスレッドで行うといったパターンに使います。
④ Task.cancel() — タスクのキャンセル
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let task = Task { try await someProcess() } task.cancel() |
上記のように、Task
を変数として保持しておけば、後から cancel()
を呼び出してタスクを中断するよう要求することができます。
ただし、cancel()
を呼んでも、すぐに処理が止まるわけではありません。
処理の中で「キャンセルされたかどうか」を自分でチェックして対応する必要があります。
キャンセル関係のメソッド、プロパティを下記表にまとめましたので、参考にしてみてください。
メソッド/プロパティ | 目的 |
---|---|
task.cancel() |
タスクに「キャンセルして」と依頼する |
Task.isCancelled |
処理中に「キャンセルされたか?」を確認する |
Task.checkCancellation() |
キャンセルされたら例外を投げて中断する |
Taskで指定できる構文や修飾子の一覧まとめ
ここでは、Task に指定可能な代表的な修飾子や書き方を一覧で整理します。
目的や使用シーンに応じて使い分けることで、非同期処理のパフォーマンスや安全性を高めることができます。
修飾子・指定方法 | 概要・用途 |
---|---|
priority: .background |
優先度を下げて実行 |
priority: .userInitiated |
UIと連動する重要な処理 |
Task.detached |
親の処理の影響を受けず、自分だけで完結する非同期タスクを作る |
await MainActor.run |
タスク内で明示的にメインスレッドに移動 |
@MainActor |
関数全体をメインスレッドで実行させる |
cancel() |
実行中のタスクを明示的にキャンセルする |
Task.isCancelled |
キャンセルされたかをタスク内で確認可能 |
Task を使うときの注意点
Task {}
は非常に便利ですが、正しく使わないと意図しない挙動やエラーにつながる場合もあります。
以下のポイントを押さえておくことで、安全かつ意図通りに非同期処理を実行できます。
Task {}
の中で await を使うには、必ず非同期関数(async)が必要- 中断・キャンセルが必要な場合は Task を定数に保持して cancel() を使う
- Task は親のコンテキストに紐づくため、意図しないキャンセルが起きることも(必要なら detached を使う)
- UI更新を含む処理は MainActor.run で包む or @MainActor を使う
これらの注意点を意識して使えば、より安定した非同期処理を実装できます。
特に UI やキャンセル制御に関わる部分は、実装前にしっかり理解しておくと安心です。
まとめ
今回は Swift の Task 構文について詳しく紹介しました。
- Task は async 処理を任意の場所で開始できる構文
- ボタンやイベントから非同期関数を呼び出すときに便利
- 優先度やスレッド指定、キャンセル処理など柔軟に制御できる
- Task.detached や MainActor.run との組み合わせで安全性やパフォーマンスを確保
非同期処理の導入がシンプルかつ強力にできる Task を、ぜひアプリの中でも活用してみてください。